2018年度から継続して、ヒトでのオタネニンジンによる体脂肪改善(脂質燃焼)効果の検証実験を行った。統計学的に有意とはいえないが、オタネニンジン摂取により安静時脂質燃焼が5-10%促進するという前年度と同じ結果が得られた。今後もより厳密な科学的根拠を蓄積すべく、被験者数を増やして同様に研究を実施する予定である。
協力小学校における児童の身体指標および日常活動量の測定から、身長、体重などの体位の向上が標準的な範囲に収束してきている傾向がみられた。2018年度から比べると、日常活動量に変化があり、全体として活動量が低下してきている傾向が認められた。実際に日常生活に関するアンケート結果からもこのことが示されている。高い活動量を維持している児童と低い児童に2極分化している可能性がある。バスや徒歩などの通学方法には変化がないことから、日常生活上での屋外での活動習慣に変化が生じているのかもしれない。
身体指標および日常活動量の測定と同時期に実施した食習慣・生活行動調査結果から、食習慣、食生活についての正しい知識を有する児童の割合は前年度よりも増加しており、本事業による取り組みの成果が表れてきているものと評価している。一方で、前年度と同様に、それらの正しい知識が正しい食習慣・食生活行動には結びついていない実態が明らかになった。この点は、本事業が目的とする児童の正しい食行動・食生活行動へと向かうために必要な意識を向上させるために、一層の実践的介入が必要なことを示している。今年度事業により明らかになった個別の食事バランス、栄養素項目(ミネラル)および食事摂取項目(主食、副菜、果物、お菓子類)については、次年度事業においてこ重点的に活用して、児童の意識を行動へと結びつけるための意識変容の具体的な取り組みを行っていく予定である。
オタネニンジンは独特の苦みや香りを持ち、生のまま食すことは困難である。本年度事業では、オタネニンジン粉末に加えて、比較的調理しやすいひげ根部分を利用して実践的な給食メニューの作成に取り組んだ。独特の風味を持つメニューとして、給食の中でも児童に人気の高いカレーや麻婆豆腐、そして調理する側からの新たな視点を加えて、にんじん混ぜご飯を作成した。これらはオタネニンジン粉末やひげ根とも味や風味の点から相性が良く、料理の特徴的な味付けが強いことと併せて、オタネニンジンの独特な風味を緩和することができた。児童にとって身近で食べ慣れた人気メニューに加えて、給食という大量調理現場に即したメニュー献立例を作成することができた。次年度はこれらの献立例を参考にしつつ、協力小学校と連携して児童への給食提供を実施する予定である。