ヒトでのオタネニンジン体脂肪改善効果 ~安静時代謝量に及ぼす影響2~

【目的】本実験では,オタネニンジン摂取時における安静時の脳,骨格筋を含めた全身代謝変化、特に脂質代謝(燃焼)に及ぼす影響について検討した。
【方法】
呼気ガス分析装置によるオタネニンジンの脂質燃焼促進効果の実証
被験者: 男性1名、女性4 名(平均年齢20歳)
測定条件: 室温21-26°C、湿度40-70%の室内環境で実験を行った。室内入室後に安静(座位覚醒)状態を維持した。安静開始10-15分後に,試験食(市販乾燥スープ:エネルギー16 kcal、たんぱく質0.8 g、脂質0.8 g、炭水化物1.7 g、食塩相当量1.4 g)にオタネニンジン0.8 gを含んだもの、あるいは含まないものを一人の被験者が最低一週間の間隔をあけてそれぞれ摂取した。試験食摂取15分後、ポータブルガスモニター(AR-10、アルコシステム)を用いて15分間安静時におけるエネルギー代謝測定を行った。呼気ガス分析は,呼吸商(RQ)、酸素消費量(VO2)、二酸化炭素排出量(VCO2)を測定した。

【結果および考察】
オタネニンジンの体内脂質代謝(燃焼)に及ぼす影響
オタネニンジンを0.8 g含む試験食あるいは含まない試験食を摂取後、25-30分経過時間において、呼気ガス分析装置を使って被験者5名の呼吸商(RQ)、酸素消費量(VO2)、二酸化炭素排出量(VCO2)の測定を行い、安静時代謝時RQに及ぼすオタネニンジンの影響を調べた。
RQ値は、測定開始後、5分以降はオタネニンジン摂取の有無にかかわらず概ね一定の数値をとることが観察された。被験者5名のうち、3名がオタネニンジン摂取により摂取後25-30分の5分間の平均RQ値が、非摂取時に比べて低下していた。残りの2名についてはほとんど変化がなかった。
安静時代謝における測定時間内(25-30分)のRQ平均値の相対的変動率(オタネニンジン非摂取時RQ値を100%としたときの摂取時RQの相対値)を表1にまとめた。被験者5名の相対的変動率の平均値は、96.2%、最大値が103.2%、最小値が87.8%であった。平均値の標準偏差が6.6%であることから、オタネニンジン摂取により統計学的に有意にRQ値が低下するとは言えないものの、最大値、最小値を考慮すると低下する傾向があることが示唆された。2018年度、別の6名を対象とした同様の実験では、RQ平均値の相対的変動率は、96.4%、最大値が103.4%、最小値が87.6%であり、ほとんど同じ結果が得られた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

体内で脂質が燃焼した場合のRQ理論値は0.7であり、一方、糖質が燃焼した場合は1.0となり、RQ値はその間を変動する。今回、オタネニンジン摂取により被験者のRQ値は低下する傾向がみられたこと、またRQ値の低下は、主としてVCO2値の低下によることが示唆された。以上のことから、オタネニンジン摂取により安静時における脂肪燃焼が促進される可能性が示された。今後は、被験者数を増やして検証を進めることにより、オタネニンジンのヒトでの体内脂肪燃焼促進効果が実証されることが期待される。