小菊かぼちゃ(猪苗代産)の栄養・機能性成分分析

小菊かぼちゃ(猪苗代産)の栄養・機能性成分分析

1)実験目的

 カボチャは、ウリ科に属する果菜であり、世界中で様々な品種が栽培、食されている。一般的に野菜類の中では、デンプンやたんぱく質を比較的多く含み、多くのビタミンを含むことから、栄養価の高い冬季における重要な作物である。猪苗代地域で栽培されている会津伝統野菜の一つである小菊かぼちゃに含まれる栄養成分、および抗酸化作用を示すβ-カロテン、ビタミンCの量を分析することを目的に実験を実施した。

 

2)実験方法

 猪苗代地域で栽培された小菊かぼちゃを、収穫後21日の栄養成分、収穫後36日と111日のβ-カロテン、ビタミンC含有量についてそれぞれ分析を行った。β-カロテンとビタミンCの含有量の測定は、食品表示基準(平成 27 年内閣府令第 10 号)別表第9の第3欄に掲げる方法に準拠して含有量の分析を行った。

 

3)実験結果

①小菊かぼちゃの栄養成分

小菊かぼちゃ栄養分析結果

 

②小菊かぼちゃのβ-カロテンとビタミンCの含有量

小菊かぼちゃβ-カロテン分析結果

小菊かぼちゃビタミンC分析結果

 

4)考察

 猪苗代産小菊かぼちゃの栄養成分では、他の日本かぼちゃに比べてたんぱく質含量が低く、その一方で脂質と灰分(ミネラル分)が高く、その含量は西洋かぼちゃよりも高かった。収穫後36日の保存期間の短いかぼちゃについては、β-カロテン、ビタミンCともに他の日本かぼちゃよりも含量が高かった。111日間の長期保存では、小菊かぼちゃのβ-カロテン含量は約3倍に濃縮されており、西洋かぼちゃに匹敵する含量であった。ビタミンCはそれとは反対に1/3程度にまで低下していた。9月初旬の収穫から111日経過した時期は冬至の頃になり、その時期にかぼちゃを食する習慣が日本にはある。過去の研究で、冬至の時期に糖度が上昇してかぼちゃの甘味が増すとの報告がある。β-カロテンもこれと同様に長期保存によってその含量が高まることで、小菊かぼちゃの機能性が促進されるものと考えられる。

 

参考資料・サイト

  • 栄養成分等の分析方法等 通則(消費者庁)www.caa.go.jp/foods/pdf/160331_tuchi4-betu2.pdf
  • 逆相高速液体クロマトグラフィー法によるカロテン類の同時定量法    金沢大学つるま保健学会誌 (Journal of the Tsuruma Health Science Society, Kanazawa University) 36巻1号, p. 27-31, 2012
  • かぼちゃの成分に関する研究-II えびす種の糖度とでん粉量の経時的変化について  帯広大谷短期大学紀要23 巻, p. A5-A8, 1986